NZの学校 ~校則「履き物をはいて登校すること」~
2月からフィティアンガの町はずれにあるマーキュリーベイ・エリア・スクール(=MBAS)で日本語を教え始めました。 うちの3人の子供達が通っている学校です。 生徒数は600人余り。 5歳で始まる小学校から17歳で終わる高校まで続いた公立校です。
スクールバスが何台かあり、学校から1時間圏内の子供達を集めて周ります。一度長女が友達の家に週末を誘われて、その家まで車で送って行くと、驚いたことに舗装していないうねった山道を車で小一時間かかって着きました。 毎日そんな道をスクールバスは走り、子供達は学校に通っているのです。 ですから皆実にタフでアクティブな子供達です。都会のもやしっことは大分違います。
学校でもそんな彼らのエネルギーに応じてか、体育の時間が割合と多く、水泳・クリケット・ラグビー・ソフトボールなどをやり、時にはカヌーやブッシュウォークなどもさせてくれます。 日本のような鉄棒・縄跳び・跳び箱・マット体操などはやりません。
学校の水泳の授業は11月から毎日。 そして学校のプールは夜も夏休み中もずっと解放されていて、子供達は好きなときに好きなだけ泳げます。 プール前の体温の検温や体操もありません。
先生はプールサイドで見てるだけで、特に泳ぎ方を指導したりしません。(5,6歳児のクラスは水泳指導が少しある)。 子供達はどんどんプールに飛び込み自由に泳ぎます。
「どの子もクロール、平泳ぎ、背泳ぎを軽くこなすのよ」と水泳の苦手なうちの娘は驚いていました。面白い事に、プールの使用に関して唯一のルールは、「洋服で泳がない」。 子供に聞くと、洋服のままプールに飛び込んで泳ぎだす子が結構いるそうで、そのためにこのルールがあります。
ルールと言えば、この学校では子供の個性と自主性を重んじるため、細かい校則はもうけていません。それでも、昨年の学年末に校長先生から1年の反省と新学期への申し送りがあり、その中で服装の事がありました。「おなかや肩の出すぎた服はあまり好ましくない。また中学生以上は学校に履き物を履いて来るように」というのです(!!) 履き物はゴムゾーりでもOK. こちらでは、健康のため(?)に裸足を好む人が多く、子供たちもはだしで学校へ来る子がいます。
1日中靴を履いている生活反動でしょうか...それにしても日本では考えられない自由な学校生活です。 今では我が家の子供達も、家へ帰ると喜んではだしで遊びまわり、学校へはゴムゾーリで行きます。
そういえば、一月末の新学期前の初めての職員会議に出席したときも驚きました。私は新任の日本語教師として初めての職員会議なので多少緊張気味でした。 久しぶりにフォーマルなワンピースを着て、ストッキングをはいて出かけました。 しかし、一歩会議室へ入ってびっくり!フィティアンガのフィッシャーマン(漁師)の集まりかな、と思ったくらいです。 男の先生達は皆、短パンにTシャツ・ゴムゾーリ。 女の先生もラフなワンピースに素足にサンダル。校長先生だけがかろうじてシャツに長ズボンをカジュアルに着込んでいました。 会議も実にリラックスした雰囲気で、先生がたは思い思いのソファーにゆったりと座り、校長の話に耳を傾け、時に意見を述べたりしていました。
その時、新任の紹介になり、私の名前が出ました。私は日本の習慣で、思わず立ち上がって黙礼し。紹介されている間立っていました。 でもそんな事をしたのは私だけで、他の新任の先生は知らん顔で座り続けて、その時初めて習慣の違いに気が付きました。そういえば、私の日本語クラスでも、私が名前を呼び質問する時、当然立って答えるだろうと、こちらが期待するのに反して、生徒は誰も立ちません。 リラックスして座ったまま答えます。
教室には教卓もなく、先生と生徒の関係は対等です。 でも私は日本語クラスの初日に生徒にこう言いました。「この時間、皆さんは日本にいると思ってください」。ですから今私の日本語クラスは「規律・礼・着席」で授業を始めます。日本語を教えるには、日本の文化や習慣も教えなければなりませんから、これからも少しずつ日本の習慣を体験させて行こうと思います。
さて、1年後、このフィティアンガのタフな日本語学生がどう変わるでしょうか...?
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